ノルウェーの美味しい食べ物といえば、食事系なら、まず、サーモンを思い浮かべる人も多いかと思います。確かに、脂ののったアトランティックサーモン、とても美味しいです。私は今は海沿いのベルゲンに暮らしていますが、オレブルアカデミに通っていたことははもう少し内陸のヴォスVossという街に住んでいました。距離にすると100kmですが、食生活は必ずしも魚系が多いという訳でもなく、どちらかというと、肉系の、それも羊肉やソーセージの類の伝統料理のあるところでした。中でも、秋頃になるとスマーラホーヴェといって、羊の頭部をスモークした伝統料理がスーパーで売られたり、食べられたりする習慣があります。なんでもこの料理はバイキング時代から続く伝統だそうですが、そのグロテスクな見た目から、現在ではあまり人気のあるお料理という訳ではありません。そのせいもあってか、10月にはスマーラホーヴェ フェスティバルなるものが開かれ、街をあげて、このお料理を食べるという習慣があります。
日本では伝統料理というと、豊かな食文化でも知られる通り、「健康的」なイメージがありますが、ノルウェーでは必ずしもそうではなく、スモークされたお肉やお魚などの保存食が多く、こういった料理はスペーケマートと呼ばれます。塩分は気にする必要はあるのですが、もちろん、丹精込めて作られたこういった食事も、味に慣れてくると、大変なご馳走に感じられます。フラットブレッドやポテトサラダ、グリーンサラダなどと一緒に食べられるものです。
必ずしもスペーケマートという訳ではありませんが、ソーセージや羊のお肉に合わせて秋口のこの季節、よく食べられるのが「コムレ」もしくは「ラスペカーケ」というジャガイモをすりつぶして作られれるポテトボールです。茹でたジャガイモのすりつぶしと、生のジャガイモのすりおろしに小麦粉と大麦粉(省いても可)を混ぜて作ったボールを、ブイヨンを入れたお湯で茹でて作ります。なんというか、大きいニョッキのような食べ物ですが、ジャガイモに比べて食べ応えがあり、一つ食べただけでもお腹いっぱいになってしまうような食べ物です。
このラスペカーケ、どういうわけか木曜日に食べられます。イタリアでもニョッキは木曜日に食べると聞いたことがあるので、そもそも宗教的な習慣に理由があるのかもしれません。
時間はかかりますが、比較的身近な材料でできるノルウェー料理、一度作ってみてくださいね。
