ノルウェーのクリスマス Norsk jul

ブログのタイトルも内容も、日本語とノルウェー語併記にするか英語併記にするかいつも気まぐれです。

もうすぐクリスマス。今年のベルゲンは気温が思いの外下がり、11月にして雪が積もったり、氷点下だったりと珍しい天候です。街はいよいよクリスマスへ向けて本格的にイルミネーションやデコレーションが始まりました。といっても、日本と比べたらすごく地味です。イルミネーションはカラーではなく、シンプルな電飾がつけられるだけ。街の中心の何箇所かに大きなクリスマスツリーを配置したり、お店のショーウィンドウにはクリスマスらしい雰囲気のデコレーションが並んでいますが、ナチュラルカラーと雪の白を基調としたシンプルなものが主流です。

 

有名インテリアショップ、イルムスのショーウィンドウ。地味ですが品があり、しっとりしたクリスマスの雰囲気が素敵です。

 

 

ブリッゲンの中では毎年、週末になるとクリスマスマーケットが開かれ、個人のアーティスト達が主に店を出しています。これとは別に今年は大きなクリスマスマーケットが広場に出るらしいのですが、日本で信じられているほど、クリスマスマーケットはこちらは盛大ではありません。なんでも、今年できるマーケットもドイツに視察してきて開催することになったくらいで、どういうマーケットが出るのか楽しみです。

 

 

アドベントになると、紫色を基調としたキャンドルが多く使われ、クリスマスには赤になるのですが、お花屋さんではこの季節、クリスマスローズなど白いお花をよく扱っています。そして、街に毎年配置される大きなクリスマスツリー。これが出ると、やはりクリスマスらしくなります。

追記:クリスマスマーケットが広場に出ました。お馴染みのジンジャークッキーpepperkakeで作った街(写真以下)のミニ展示や、ローカルフードのお店、個人のアーティストのお店などがテントに並んでいます。出かけた日が嵐だったため、全体写真は撮れませんでした。

 

コンサート追加情報

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1月のコンサート、当初予定していた定員20名は満席となったのですが、同じ会場に広い部屋があるということで、そちらでの開催を考えています。まだお席に余裕がありますので、是非お越しいただければ幸いです。

尚、特にお子様向けという設定ではありませんが、小学生までは無料、中高生は半額とさせていただきます。ご予約の際にお伝えください。

ベルゲン Bergen

 

ベルゲンはノルウェーで2番目に大きな街で人口はおよそ27万8000人です。街の中心には有名な世界遺産のブリッゲン地区(写真右)があり、ここは14-18世紀にかけて、ドイツ人商人たちがハンザ商館を構えたことで知られ、世界中から観光客が訪れます。欧米からの観光客はクルーズ船で訪れることも多く(写真左)、半日や1-2日街に滞在して観光を楽しまれる人が多いです。

北海に面しているベルゲン、北緯はおよそ60度ですが、海流の影響で(北大西洋海流)夏は雨が多く、冬も温暖な気候が特徴です。私としては冬場、雪が見られないのがとても寂しく感じていますが、過ごしやすい冬とも言えると思います。一年を通じて雨が多く、2016年は降雨日数が191日だったそうです。

街にある世界遺産に加えて、西ノルウェーを代表する美しい自然、フィヨルド地方への玄関口としてもよく知られ、Norway in a Nutshellと称してオスローベルゲン間を列車、バス、船を利用して回る観光ルートが有名です。

一方で、街の中をゆっくり散策すると、18-19世紀から立ってる古い民家や路地裏を散歩するのが楽しく(写真左)、ちょっと疲れたらカフェで一服。そんな旅が楽しめるのがベルゲンです。

ヨーロッパでは、ベルゲンはカルチャーの街としても知られているようです。世界一古いオーケストラ、ベルゲンフィルがあり、秋から春にかけて毎週のように定期演奏会を行っています。歴史的には有名な作曲家エドヴァルド・グリーグ、その叔父に当たるオーレ・ブルもまたベルゲン出身で、郊外にはそれぞれの邸宅が建っていて有名な観光スポットとなっています。一方、クラシック以外の音楽アートシーンでもジャズやコンテンポラリーダンスなどがアクティブに活動を行っています。街の中心には美術館やギャラリーも多く、こじんまりとした街ですが、アートの占める割合が多く、文化的に豊かな街です。

ハーディングフェーレを弾く人は、(展示がえやメンテナンス時以外は)ベルゲン博物館にヨスタフェーレがあります。これは一見をオススメします。

ミュージアムでみるハーディングフェーレシリーズ 2 Old Hardanger Fiddles at the Museums vol.2

シリーズ2では、テレマルクの楽器に焦点を当てたいと思います。テレマルクの新旧の楽器について詳しいのはボーミュージアムBø Museumの展示です。ここに集められているのは、テレマルクの、そしてハーディングフェーレの歴史上、特に重要とも考えられるへランドHelland、スタインシェンダーレンSteintjønndalenの作家たちの作品を中心に、それ以前に活躍した、カール・ルーエ Karl Rui (1742-1829) の作品を展示しています。へランド家、スタインシェンダーレン家どちらも実は元は大きな一つの家族。世代を経てボーからスタインシェンダーレンへと分家した親戚同士です。

なぜ、Helland、Steintjønndalenが重要なのか?ハーディングフェーレはその名前にも代表されるように、ハルダンゲル地方を中心に西ノルウェーで最初に作られ始めました。18世紀を通じて各地へと広がりを見せましたが、形状は主に小型であることは共通していたもののまちまちで、弦の数(特に共鳴弦の数)は定まっておらず。装飾も多岐に渡っていました。(vol.1の写真で楽器の頭部をよく見ると、現在一般的なライオンや竜とは随分と違うのがわかるかもしれません)Bjørn Aksdalは歴史的なハーディングフェーレの楽器の発展は3段階に分かれると定義しています。1,Jaastadfeleを含む17-18世紀に作られた農民の楽器 2, ハルダンゲルのBotnen一族の楽器 3, テレマルクの近代化された楽器

楽器の発展において一大革命を起こしたとされるのが、エーリク・ヨンソン・へランド Erik Johnsen Helland (1816-1868)なのです。

へランド家のヨン・エリクソン・へランドの息子として生まれたエーリク・ヨンソンは、ハーディングフェーレ職人の父の元、かなり若い頃より楽器づくりを始めすぐに頭角を表し、職業的楽器作家となります。わずか52年の人生の晩年に(1862年)コペンハーゲンへと留学しバイオリン制作を学びその頃の経験が、晩年のいわゆる「モダンな」ハーディングフェーレのモデルと言われるようになったと一般的に語られていました。ところが、2009年に発表された歴史的ハーディングフェーレのサイズ測定結果からは、少し別の事実が明らかになっています。ここについてはまた後日改めるとしますが、ともあれ、エーリク・ヨンソンの重要な業績は楽器の近代化であると考えられています。

エーリク・ヨンソンとちょうど同時期に楽器の近代化を推し進めていったと言われるのが、エーリク・ヨンソンの弟でHelland家から分家したEllev Jonsen Steintjønndalen(1821-1876)。この兄弟は1850頃より新しいモデルを作って行きました。

トータルで4世代に渡ってハーディングフェーレの職人を生み出した一族ですが、このエーリク・ヨンソンの業績はハーディングフェーレの歴史に転換をもたらしました。そして、その後もこの一族が作り出す楽器が各地で作られるハーディングフェーレのモデルをリードしていきました。

写真は左より、Erik Johnsen Helland “Kjempa”、Jon Eriksen Helland、Karl Rui。(Bø Museum展示 2016)

 

 

ベルゲン博物館には、へランド一族の4世代目の作家の一人、Gunnar Hellandの作品 (1930)も収められています。

 

 

またトロンハイムの楽器博物館にも、へランド一族初代のJon Eriksen Helland、4世代めの作家の一人にして、最も偉大と言われているOlav Gunnarson Hellandの作品(1902)が収蔵されています。写真は左からJon Eriksen Helland, 横から並んでみたOlav G Helland & Jon Eriksen Helland, Olav G Helland (正面)Olav G Helland(背面)

 

 

ハーディングフェーレの発展の歴史上の3つの段階と上に書きましたが、現在一般的に弾かれている楽器の90%以上はモダンの楽器の部類に入るといって良いでしょう。とはいえ古い楽器は、古い時代への憧れや探究心となって多くのプレーヤーへインスピレーションを与え続けています。

まだまだ続きます。

Here I pick up some of the old and more modern hardanger fiddles from Telemark. These pictures are mostly “Hellandfele”, except one which was made by Karl Rui, who was probably the first hardanger fiddle maker in Telemark (1742-1829). I visited Bø Museum in Telemark, Bergen Museum and Ringve Museum in Trondheim.

ミュージアムでみるハーディングフェーレ シリーズ1 Old Hardanger Fiddles at the Museums vol. 1

 

以前の記事にも書いたのですが、自分自身が楽器を購入するにあたって、また、修士論文をかくに当たって、歴史的な楽器についても博物館を訪ねたりしました。その一部をここに公開します。

まず、上の写真はノルウェーで現存する最も古いハーディングフェーレと言われている通称ヨスタフェーレJaastadfele。1651年のラベルがつけられています。このヨスタフェーレを始めとする17世紀にハルダンゲル地方で作られた楽器は、現在一般的な楽器に比べると随分と小ぶりです。以前の記事で、私のHellandfeleは少し小ぶりだと書きましたが、それよりもさらに小さく、参考までに数値で書くと楽器本体の長さが322mmで(B.Aksdal Hardingfela参照)私の持っているものは347mm程度かと思います。指板や本体に施されている装飾も、モダンの楽器のつる草模様と十字模様主体のものに対して、幾何学模様が主体になっているのがわかります。共鳴弦の数も初期の頃は本数が楽器によってまちまちだったようですが、ヨスタフェーレは2本つけられています。因みに、「モダンの」と書きましたが、ハーディングフェーレは1860年ごろより楽器のモダン化(具体的には大型化、バイオリン化、装飾のスタンダート化)が図られたとされます。

ヨスタフェーレはベルゲン博物館の所蔵で、このベルゲン博物館にはヨスタフェーレ以外にも17世紀に西ノルウェーで作られた古いタイプの楽器に加え、よりモダンな楽器 (vol2に掲載)も展示されています。以下がその一例です。

I would like to share the information about the old hardingfeler at the museums. I visited several museums to get to know about the old instruments when I wrote the master’s thesis. And here are some of the pictures I took.

The first 5 pictures are of the oldest hardingfele which is also known as “Jaastadfele”. This one is quite small and has 2 sympathetic under-strings. Decorations are also simple and geometrical. This hardingfele is collected at the Bergen Museum, and below, I put the 3 more pictures of the hardingfele which was made in the western Norway during the 18th century. (Also from the collection of the Bergen Museum)

もうすぐ冬 The Winter is coming soon…

 

昨日はとても寒かったようで、いつも雨ばかりのベルゲンにもみぞれが降り、山の方はうっすら白くなりました。2週間前に冬時間になり、随分と夜が長くなって来たもののまだアドベントまで少し時間があります。それでも、スーパーに行くと、クリスマスのお菓子やら、雑貨店にもクリスマスの小物類、プレゼントのラッピング用品などが並び始めました。少し時期は早いけど、こういうのがあるからこの時期、楽しい気分になれます。