静寂の音 コンサートのお知らせ

ノルウェーの生活の中で、最も印象的だったのは、静寂の音だったかもしれません。私は、大都会の真ん中とまではいきませんが、大阪の郊外で生まれ育ちました。人々の行き交う音、大きなBGMの交錯する商店街とはすぐ近くという環境にあまりにも慣れていました。

私はノルウェーはテレマルクのラウランドというところで民俗音楽を学びました。今でこそ、冬になるとスキー場目がけてオスロなどの街から観光客がやってくるリゾート地として賑わっていますが、当時はまだそれほど人も多くなく、夕方4時になると真っ暗になる中、外灯のない道を懐中電灯翳して学校から家へ帰ったのをよく覚えています。スキーリゾートらしく、冬はよく雪が積もるので、雪が音を吸うせいか、独特の音世界になります。ああ、静かっていうのはこういうことなんだと実感したものです。

そういった音世界がノルウェーにはあちこちにあります。そして好まれる音楽も、楚々としていて、シンプルながらも暖かみのあるものが多い、独特のサウンドです。そんな音楽を届けるアーティスト、マリヤ・モッテンソンとフローデ・フェルハイムが来日するという話を伺い、コンサートの冒頭に僅かですが参加させていただくことになりました。マリヤとフローデのノルウェーサウンドを聴きに、是非お運びくださいますようご案内いたします。私も、私なりのノルウェーサウンドを届けられますよう、準備したいと思っております。

<静寂の音 -Quietness-> ヨイク・ナイト Joik Night

 静寂 と 音楽、相反することば。

「日本は音に溢れているね」
深い森や大草原で生まれ育った、演奏家たちの言葉がずっと心に残っていた。
日本で、森が自然好き! であっても彼らの知る 森や草原の静寂とは全く別ものだと思う。
人と会うことすら少ない環境で生まれた音楽。
届ける対象は、周りの木々や湖、そして自分自身であった。

都会に居ながら、彼らが生まれ育った音楽に身を寄せてみたい。
そんな想いを届ける 「静寂の音 -Quietness-」 シリーズ

大阪 [能楽堂] 公演
日にち
2018年11月30日(金)
時間
Open 18:30 / Start 19:00
会場
山本能楽堂
大阪市中央区徳井町1丁目3-6
出演
マリヤ・モッテンソン (ヨイク)
フローデ・フェルハイム (ヨイク/シンセサイザー)
[オープニングアクト] 樫原 聡子 (ハーディングフェーレ)
料金
全席自由
【一般】前売 4,000円 / 当日 4,500円
【学生】前売 2,000円 / 当日 2,500円
チケット
・インターネット予約 10/30(火) 10:00 発売
・イープラス 11/3(土) 10:00 発売
 「静寂の音」or「ヨイク・ナイト」で検索

レッスンのお知らせ

11月からほぼ半年間の期間で、ハーディングフェーレの個人レッスン、グループレッスンを関西エリアでさせていただきます。個人レッスンは初心者から、弦楽器のご経験のある方、北欧音楽ご経験者はグループにご参加いただけますので詳細お問い合わせください。なお、貸し楽器は先着一名様です。

秋に向かって

さて、私のこの度のトロールハウゲンでの仕事は9月末で一旦終了することにしました。ベルゲンの観光シーズンは9月ごろでひと段落します。それに合わせて、トロールハウゲンの方でも開館時間をオフシーズンは短くしたり、プログラムをノルウェー人向け、子供向けのものに変えていったりするようです。また来年仕事できることを願って、私の方は一旦終了です。

この夏は、日本から、トロールハウゲンに観光に来られる色んな方にお会いしました。特に、音楽家の方や音楽に興味のある方と話をさせていただくのは楽しかったです。お話をさせていただく中で、音楽以外にも、ノルウェーってこうですよねーとかいう話を逆に聞かせてもらうのも楽しかったのですが、ノルウェー旅行記をご自身のブログに書かれた方がいらっしゃって、トロールハウゲンのことも書いてくださったので、ここにもご紹介します

グリーグはピアノ小品が多いですが、当時、サロン音楽全盛期としては楽譜が大変よく売れたそうです。技術的に難解でない曲が多いので、現在でもピアノ教室などでも教材として取り上げられる事があったり、と、意外に一般家庭に浸透しているとも言われています。実際、外国からピアノの先生が自分の生徒にグリーグのことを話して聞かせたいといってトロールハウゲンまで来られたりするケースが何件もありました。そんなグリーグだからこそ、トロールハウゲンで働く事は、「点と点を繋ぐような事」というのはシーズンを始める前に言われたことでもあります。ノルウェーの民族音楽が、ノルウェーでもあまり認知されていなかった時代に、ノルウェーサウンドを外国にまで運んだグリーグの業績を今更のようにすごいと考えざるを得ない経験でした。