作曲家エドヴァルド・グリーグ(1843-1907)の家トロールハウゲンでは5月から10月頃まで毎日、グリーグ作品のピアノコンサートを開催しています。(注:グリーグの作品はほとんどがピアノ曲です)私は昨年の夏はトロールハウゲンのガイドとして仕事をしていましたので、今年もいつか訪れようと思っていました。今週は、昨年グリーグピアノコンペティションで優勝した日本人ピアニスト、高木竜馬さんのリサイタルが連日開かれていましたので、聴きに行ってきました。
200席あまりの室内楽に最適の小ホールが満席となり、この日は人気の為、さらに追加のコンサートが予定されていました、プログラムも、このコンサートシリーズではよく登場する曲ばかりでしたが、新鮮な解釈と確かなテクニックで観客を魅了し、終演時はスタンディングオベーション!このホールでは良いコンサートが度々ありますが、こんなに熱く観客に受け入れられたピアニストは滅多にいないのでは?と思いました。トロールハウゲンスタッフからの評判もとても高かったです。
このトロールハウゲンの夏のランチコンサートシリーズはいつも聞き応えがあります。それは、出演ピアニストの演奏技術の高さのみならず、多くのピアニストが趣向を凝らして、グリーグの描いた世界を話して聞かせる所にあります。グリーグの芸術家人生を語るレクチャーコンサートとも言えます。物価の高いノルウェーですが、音楽好きの方にとっても価値のあるお値打ちコンサートだなといつも思います。(因みにコンサートと博物館入場料が180NOK=2265円、街からのガイド付きバスツアーが290NOK=3650円)
このシリーズに出演するピアニストの精神的・体力的なタフさにもいつも驚かされていました。夏の半年間、ベルゲンには欧米の港からの数々のクルーズ船が到着し、街は観光客で賑わいますが、そのクルーズ船からの観光客の訪れる人気スポットの一つがトロールハウゲンです。クルーズ船が複数到着する日は、ピアニストは1日に5回も6回も演奏しますし、船のスケジュールによっては、ステージ間の休憩が十分に取れないこともしばしばです。それでもプロとして同じクオリティを提供するのを何度も見てきました。
昨日は、ベルゲンに来てから初めての夏日。気持ちの良い1日を街の郊外で満喫しました。これからベルゲンに旅行に行く音楽好きの方、トロールハウゲンは絶対オススメです。