Folkelarmprisen 2022

今年もFolkelarmの季節になりました。ノルウェーの民俗音楽では、その年発表されたCD等の録音物の中でも際立っている作品について、FolkelarmprisenとSpellemannprisenという2回の受賞の機会があります。特にFolkelarmはより民俗音楽に特化したラインナップとなるため、実際にコミュニティにいる人により近しい感覚で選定がされていると(肌感覚で)言われています。

そのFolkelarmprisen に私が留学中一番お世話になったAnne Hyttaのアルバム”Hytterdal”がtradisjonelt samspill(伝統的な方法による合奏)部門で受賞しました!これは、数年前からAnneが取り組んでいたTelemarkのHeddalに伝わる曲の楽譜資料からあまり現在では知られていないバージョンを取り上げ、音の形に”戻した”(以前の記事「楽譜とFolkemusikk vol.1」)あと、現代の感覚でHardingfele3挺によるアレンジで仕上げたもので、瑞々しい表現に彩られた仕上がりとなっています。

Albumet er heilheitleg, gjennomarbeida og oser av stilsikkerheit, presisjon og kraft. Med stor leikenheit, oppfinnsamheit og tryggheit arrangeras slåttemusikken og pregas av kvar enkelt musikars unike uttrykk. Saman skaper dei eit unikt musikalsk rom, der dei med sine feler og stemmer grip tak i dei tradisjonelle hardingfeleslåttane, leiker seg med former, motiv og klanger på ein elegant og kreativ måte som imponerte juryen. Albumet løfter fram hardingfeleslåttanes ibuende kvaliteter og opnar opp det musikalske landskapet, stilsikkert og gripande! 

このアルバムは、全てにおいてよく作り込まれており、確かさ・正確さ・力強さに満ち溢れている。そして、それぞれのプレーヤーの個性を活かした遊び心と安定性に満ちたアレンジをhardingfeleの曲に施している。それによってユニークな音楽的空間を築き上げ、その空間の中で、ヴォーカルとhardingfeleによって伝統曲をよく捉え審査員達を唸らせるエレガントでクリエイティブな方法でフォルム(音楽的構造)、メロディモティーブ、音色を扱っている。このアルバムはhardingfeleの曲に内包されているクリエイティブな側面を高く掲げており、このジャンルの音楽的地平を開拓し、確固たるスタイルを強く印象付けている。

私がお世話になった方の活躍は、とても誇らしく、嬉しいニュースです!Gratulerer så mye !!!

https://www.folkelarm.no/folkelarmprisen-2022-vinnarane.6571022-569609.html

http://www.annehytta.com/hitterdal.html

11月28日(日)コンサート詳細

アフタヌーン・コンサート -The Sound of Nordic Resonance-
日時: 11月28日(日)13:30開場 14:00開演 (休憩あり 15:15頃終演予定)
出演: 本田倫子 Nychelharpa / 樫原聡子 Hardingfele
会場: Studio Time Blue 新館2階
入場料: ¥2,000

現時点では感染症対策を実施した上で対面のコンサートを予定しています。今後の感染状況によっては開催1週間前に中止を判断し、オンラインコンサートとして開催する予定です。

ご予約お待ちしています。

ご予約はcontact@satokok.comまでメールでご連絡下さい。


11月28日(日) アフタヌーンコンサート

今年も早いものであと3ヶ月となりました。あまりコンサートのできない状況が続いていますが、11月28日に久しぶりのコンサートを予定しています。詳細は追って発表しますので今日は日にちのお知らせのみ。

Rammeslått

2021年もゴールデンウィークが緊急事態宣言中という状況の中、私はいつものように楽器を弾いて出かけないゴールデンウィークを過ごしました(笑)。楽器を弾いている人は案外この感じがわかる方もいるのかもしれませんが、弾き始めたらあっという間に1日が過ぎてしまいます。

さて、そんなゴールデンウィーク中に取り組んだ曲が、Goorrlausゴッラウスというチューニングの曲。メロディー弦3弦の調弦はレギュラーチューニングと同じですが、バス弦のみfまで下げて調弦します。曲数は多くなく、主にSetesdal地方のレパートリーに残っています。その響きは暗さと明るさの両面を持ち合わせた、ミステリアスなものです。因みにGorrlausとは「非常に(バス弦の調弦が)緩い」という意味だそうです。

Telemarkテレマルク地方にも同じようにミステリアスな響きを持つ調弦法があります。恐らくSetesdalのGorrlausとも何らかの繋がりがあるのでしょう。高音域を弾いている時は明るく、低音域を弾いていると非常に暗く、メロディーがその間を行き来するところは夢と現実を彷徨っているかのような感覚に陥ります。恐らくこれらの調弦法はとても古いものだとも聞いたことがあります。昔の人たちがどんな風に音楽を楽しんでいたのかは想像の域を出ませんが、ノルウェーのフォークにはRammeslått ランメスロットという言葉がありトランス状態に陥(る)らせる曲という意味を持っています。(あるいは、奏者が尋常ならないほど音楽に没頭している状態を表します)ハーディングフェーレの古い曲はダンスチューンで、夜通し弾かれていたわけですから、そういう場では、現実と非現実を彷徨うという感覚も、古い時代から持ち合わせていたということです。そして、このGorrlausというチューニングはRammeslåttという言葉と深く結びついている場合が多いのです。

”Gorrlaus Gangar”

New old bow 新たに弓を買いました

数年前から、古いタイプの弓に興味があって、何度も試してはやめ、試してはやめていたのですが、この度やっと新しく、古いタイプの弓をハーディングフェーレ用に購入しました。

バロック音楽をご存知の方は、弓の形状が古い時代は違っていたことはよくご存知のことと思います。ハーディングフェーレの古い時代の弓のことについては、実はあまり系統だった研究がありません。僅かに断片的に知られていることとして、150年ほど前からモダンボウが使われるようになったようだということです。19世紀後半ごろに楽器の近代化が起こり、その頃からステージで演奏するプレーヤーが出始めました。モダンボウも使われ始めたのはそのころだろう、というのです。事実、その頃活躍していたプレーヤーの写真を見ると、若い頃は短い弓を持って写っているのに、老年期になるとモダンボウを持って写っていたりします。ステージで演奏するようになって演奏スタイルが変わり、その影響で弓も変わったのかというと、必ずしも因果関係があったかどうかはわからないそうです。

私が大学院時代に調べてみたKnut Dahleというプレーヤーも、壮年期の写真ではバロックボウ、60歳頃の写真ではモダンボウを持って写っているのですが、演奏スタイルが弓のせいで変わったかどうかはよく分かりません。彼は、この時代のプレーヤーにしては大変珍しく、録音を残していますが、恐らくモダンボウで弾いたであろうその録音でも弓使いはかなり短く、彼の場合は、演奏上の理由があって弓を持ち替えたというよりは、時代の流れに合わせて変えてみた、といったところだったのかもしれません。古いスタイルを貫いたプレーヤーだったと評されています。

今回の弓は、古いハーディングフェーレの弓を実際にご覧になったことのある弓メーカーさんが作って下さったオリジナルボウです。先端の形状はハーディングフェーレの古い弓から取られていますが、長さや材料、毛を張るシステムは使い易いようにアレンジされています。まだまだ、どういった弾き方が良いのか、どんなレパートリーが良いのかなど試行錯誤を重ねる段階ですが、一つ動画を撮りましたのでアップします。

Filleværenフィッレヴァーレンという曲は、セテスダール地方でよく知られた別の曲がありますが、テレマルクでも西の方でよく知られています。元々レッスンで教わってものにKnut Dahle、Johannes Dahleの録音で得た要素を加味して比較的自由に弾いています。このような古くて短い曲は、古い弓で弾くのに適しているのではないかなと思っています。

FIlleværen

God jul 2020 !

色々と暗いニュースの多い1年が、もうすぐ終わろうとしています。
ノルウェーにいた頃には、教会でのコンサートがよく開かれ、足を運びました。今年は、自分たちでクリスマスの曲を教会で収録させて頂く機会を得ました。大阪、東京は大変な日々ですが、クリスマスは平穏に迎えられますように!

オンラインコンサート配信開始

今年の10月は昨年よりも随分と涼しいようで、最近すっかり秋らしくなってきましたね。

さて、去る10月某日、兵庫県伊丹市にあるアトリエ・風のポルッカさんで、ニッケルハルパの本田倫子さんと3月に予定していたコンサートのオンライン版を作るべく、収録を行いました。本田さんの撮影と編集を経て、10月27日より公開しています。

3月のコンサートは、新型コロナウィルス感染症の流行がいよいよ本格化するなかで中止となりました、以来、コンサート活動が制限されての半年余りを過ごしました。今回は、全収録曲12曲のうち、3曲を無料公開し、今後の活動に向けて皆さんからの協力金を寄付で募らせて頂いております。また、全編12曲は有料配信とさせて頂き、11月22日24時まで公開致します。是非、多くの方にご視聴頂きたく思っております。どうぞよろしくお願い致します。

有料配信への案内ページ https://nyckelharpa.stores.jp

YouTube公開動画

God midsommer!

今日は夏至の日。この機会に、昨年の守山市民会館ロビーコンサート用に作成した映像をアップロードしました。
ノルウェーで撮った写真と自分の録音で綴った10分のビデオ映像です。自家製です。

それではGOD MIDSOMMER!!

本日12:00からは「北欧の『おうちで』音楽ピクニック」がYou Tubeで放送されます。62組のアーティストが1曲ずつお家で撮った映像が流れます。私も参加しています。どうぞご覧ください。

https://www.music-picnic.club/

北欧の音楽ピクニック

早いもので6月も半ばになりました。6月15日といえば、ノルウェーの作曲家、エドヴァルド・グリーグの誕生日。あの懐かしいGrieg minutt for minuttも2年前のことになりました。そして、今年はコロナウィルス感染症の世界的流行で、世界各国が今までにない状況となっています。

6月21日、いつもお世話になっているハーモニーフィールズさんの企画で、「北欧の音楽ピクニック」が開催されます。ちょうど、北欧諸国にとっては夏らしい夏至の日に因んだ企画ですが、今年は「お家で」開催、そう、オンラインでの開催となります。私も短いビデオ映像を自宅で撮影し、このイベントに参加します。当日は12:00から北欧諸国と日本から集められた夏をテーマにした音楽映像がオンラインで流されます。是非、ご覧ください。

ハーモニーフィールズさんも今年で20周年とのこと。おめでとうございます!あっという間の20年。聞いてびっくり!年月のたつのを思い知らされます。

ホームページはこちらです↓
https://www.music-picnic.club/

近況報告(2020.04.11)

今年は年頭からバタバタと感染症のニュースが世界を駆け巡り、4月に入って私の住む大阪では緊急事態宣言が発令されるほどになってしまいました。3月以降のイベントやレッスンは基本的に中止とさせて頂いています。このブログを読んでくださっている方々の健康をお祈りしております。

3月7日に予定していたコンサートは、当初は5月頃に延期と考えておりましたが、現在の所、秋以降に再日程との予定です。このところ、ノルウェーのフォークミュージシャン達は、自宅でのオンラインコンサートをして楽しんでいます。私たちも何か新しい試みをして楽しめたら良いなぁと画策しています。どうぞお楽しみに!

レッスンの方は、オンラインでレッスンができたら良いなあと考えています。これまで私自身は試したことがない試みですので、こちらも楽しみに準備したいと思っています。

毎年、夏に行く予定にしているノルウェー最大の民俗音楽祭ランズカップレイクも今年は中止になってしまいました。この大会は毎年持ち回りでノルウェー各地の民俗音楽団体が主宰することになっているのですが、今回ばかりは来年も同じ開催場所(世界遺産にも登録されているRjukan、私が修士論文で扱ったKnut Dahleの住んでいた所のすぐ近くです)となるそうです。是非来年は訪れるつもりです。Rjukanについてはまたいつか記事にしたいと思っています。

それ以外では、2年半前に注文していた5弦のハーディングフェーレが、郵便事情が停滞する直前にやっと届き、今はもっぱらこの楽器を楽しんでいます。通常のハーディングフェーレの低音側にもう1本弦が付け加えられています。もう10年程も前から欲しいと思っていたのですが、なかなか注文できず、2017年にやっと注文した時には、職人さんの所で予約が殺到しており、2年待ちと言われていました。2年も待ちましたがやっぱり作ってもらってよかったと大満足しています。古い楽器の復元ではなく、エクスペリメントの方の楽器なので、弦や調弦方法も色々と試せるのがこれからもとても楽しみです。因みに、私の愛用している4弦のハーディングフェーレを作ってくれたSalve Håkedalの作です。Salveはボディーの大きめな5弦の楽器「Hardanger d’amore」も制作していますが、今回私が注文したのはハーディングフェーレサイズのものです。

一方で以前より愛用中の古い楽器の方は、さらに修理が必要と感じていたため、年始より、鎌倉に住むハーディングフェーレも制作する楽器職人の原圭介さんの工房に預けて修理してもらっています。1901年製の楽器ですが、オリジナルの部分を多く残しているもので、糸巻きが経年劣化で緩んできてしまい、修理を必要としていました。その他、細かい作業をいくつかお願いしている所です。原さんは2015年より、私も大尊敬し、大変影響を受けたプレーヤーで製作家のOttar Kåsaの工房で修行をされた信頼のできる職人さんです。こちらの楽器もまた現役になって帰ってくるのが楽しみです。

少しずつ進めているCD制作の方も、もうすぐ終盤となりそうです。世界中のバタバタが終わる頃にはこちらも完成していることでしょう!

皆様もくれぐれもお体に気をつけて、今できる楽しいことを見つけて、辛い時期を乗り越えて下さいね。